心筋梗塞が冬場に多いのはなぜ?
冬場に多くなる心筋梗塞についての解説と考察です。心筋梗塞は12月~3月にかけての発生が多く、7月~9月にかけて最も少なくなる傾向があります。
この原因には、冬の急激な温度差による血圧の変化と血管の収縮が大きく関係しています。
暖房の効いた暖かい部屋から急に寒い屋外に出ると、皮膚の表面温度が急激に低下します。
皮膚内にたくさん集まっている末梢血管は収縮し、体温が低くなりすぎないように調節します。
血管が収縮して皮膚表面の血流が少なくなった分だけ、体の中心部を流れる血流は増加しますが、心臓の冠状動脈に動脈硬化が進んでいる部分がある場合、急激に増量した血液が冠状動脈を通過できずに発作が起こります。
反対に、寒い屋外から暖かい室内に入ると表面温度が急激に上昇します。
すると、末梢血管が拡張すると同時に、体の中心部の血流が減少し、動脈硬化でもともと不足していた冠状動脈の血流がさらに低下して酸素不足に陥り、心筋の働きが弱まります。
また、心筋梗塞が発生しやすい時間帯があり、午前9時から12時ごろが最も発生率が高いといわれています。
理由としては、もっとも冷え込む明け方に、睡眠中の脱水や血圧の変動などが重なることで、血管内のプラークが破れて血栓ができやすくなります。
その後血管が完全に塞がるまでに、明け方からの約3~6時間経過した午前9時から12時ごろに多く発生すると考えられます。
動脈硬化を患っている人は、心筋梗塞を起こさないためにも特に冬場の過ごし方が重要です。
まず、外出時は体の熱が外に逃げないように暖かい服装を心がけましょう。
衣服を重ね着することによって、衣服の間に空間が生まれて冷気から受ける刺激を緩和することができます。
また、マフラーや帽子、手袋などを着用し、首筋や手首、頭を保温することで、冷たくなった血液による血管の収縮を防止し、血圧の急激な上昇を避けることができます。
このような対策をして外出することで、寒暖に対する体への負担を軽減することができます。
また、狭心症や高血圧などの心筋梗塞の危険因子を持つ人や服薬中の人は、薬を常備して少しでも異常を感じた場合は、ためらうことなく病院へ行くことが予防につながります。
心筋梗塞の死亡率は30~40%と高く、そのうち約60%が発症から約1時間以内に集中しているため、迅速な処置が求められます。
以下は、冬場の心筋梗塞を防ぐための10箇条です。
◆冬場は脱衣所と浴室を暖かくしておく。
◆風呂の温度は38~40℃と低めに設定する、42~43℃は血圧が高くなり危険である。
◆入浴時間は短めに。
◆入浴後にコップ1杯の水分を補給する。
◆高齢者や心臓病の方の入浴中は、家族が声をかけて確認する。
◆入浴前にアルコールは飲まない。
◆収縮期血圧が180mmHg以上、または拡張期血圧が110mmHg以上ある場合は入浴を控える。
◆睡眠時の発汗で血液が濃縮しているため、朝起床時はコップ1杯の水を補給する。
◆寒い野外に出る時は、防寒着、マフラー、帽子、手袋などを着用し、寒さを調整する。
◆タバコを吸う方はできるだけ禁煙する。
以上、冬場は大事にいたらないように細心の注意を払いましょう!
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